“ガル”というと“ガール”ですかと聞き返されます。
女の子の“Girl”ではありません。カモメの“Gull”です。
京都市には海も港もないのに、なぜ「カモメ」なの…?
京都市内の真ん中を流れる鴨川には、冬になると遠い北の国から大勢のユリカモメがやって来ます。三条大橋の欄干に並んで休んだり、水面を乱舞するユリカモメを見て、京の人々は、もう暮れだと気ぜわしく新しい年の準備を始めたりするのです。
カモメの中でもユリカモメは小型で愛らしく、スマートな姿をしています。しかし、カモメの仲間には「盗賊カモメ」の異名を持つ種類もあるように、他の鳥の卵や雛を襲う、どう猛な一面もあります。そんな鴨川のユリカモメのねぐらは、京の東の霊峰・比叡山の向こうに広がる近江の琵琶湖。川原で一日遊んだユリカモメは、みんな揃ってねぐらに帰っていきます。
その帰る直前、京都の夕方の東の空が暗く沈む頃。彼等が何十羽、時には何百羽の大集団となり、鴨川の上空はるか上の方で、竜巻きにも似た「鳥柱」と呼ばれる円舞を見せるときがあります。
深く沈みかける濃い灰色の空を背景に、西日を真横から受けて、灰色の中にキラキラと光ながら、ひとかたまりになって流れてゆく
-まるでファンタジックなダイヤモンドダストのように。
そして時に、消えゆく花火の残り火の様にハラハラと、また、珊瑚の海で金色に輝く、小魚の大群のワルツと見まがう一瞬を見せながら、ひとわたり遊んだのち、比叡山を超え琵琶湖へと帰ってゆくのです。
私たちも彼等と同じように、ときには優美にやさしく、ときにはインパクトの強いアイデアで、さまざまな顔を表現できるクリエイターでありたいと思っています。感動で人々の心に伝わるデザイン。
これが、最終的にクライアント様の利益につながると考えています。